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2007-05-30

ぱわぱわ日記21・雨が降って……(中編)

前編の続きです。「続きを読む」からどうぞ。

 
 
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市ヶ谷様のマンションを出て…………3人はアパートに帰りつきました。
あり合わせの夕食の間も、朝比奈はずっと無口で。
 
 
 
なぎさちゃんがお風呂に入ってる間に、ようやくグリさんは、市ヶ谷様のマンションで何があったのかを聞きました。
 
グリさん「そうだったんですか……」
朝比奈「…………」
グリさん「でも、市ヶ谷さんはきっと、私たちのためにはそれがいいと思って言われたんじゃ……」
朝比奈「ああ。……悪気はねぇんだよ、きっと。それはわかってんだ。あいつにしたらさ、金のことなんてマジに問題じゃねーっつか、オレらがあそこに何人居候したところで、貸し作ったうちにも入んねぇんだろうよ」
グリさん「…………でもやっぱり、腹がたつ、ですか?」
朝比奈「ん……むかつくっつーか…………」
グリさん「?」
朝比奈「……」
グリさん「…………」
朝比奈「………………」
グリさん「……………………」
 
黙りこんでしまった朝比奈ですが、グリさんが辛抱強く待ってると、そのうち深く溜息をついて、
 
朝比奈「………… 悔しかったんだよ
グリさん「え? 市ヶ谷さんがお金持ちなことが、ですか?」
朝比奈「違うって、そんなんじゃねぇよ。……そうじゃなくて……」
 
 
 
頭かき回して言葉を探し――やがて、口を開きます。
 
朝比奈「ボスがあいつを連れてきた時さ。正直――『げっ』て思ったんだよな」
グリさん「はぁ」
朝比奈「あいつさ、めちゃくちゃ有名人だろ? それも、いい意味ばかりじゃないってか、どっちかっつーと逆の方が多いよな」
グリさん「いろいろ言われてますよね。『高ビー』だとか、『強引』だとか」
朝比奈「『空気読めねぇ、むしろ読む気ゼロ』とかな」 (^^;
グリさん「ええ」 (^^;
 
高笑いする市ヶ谷様を思い起こして、苦笑する2人。
が、すぐに朝比奈は真顔になり、
 
朝比奈「……オレも、同じチームになるまであいつと喋ったことって無くてさ。だから、ボスがあいつを入れることに決めたって言ってきた時、『げっ、よりによって市ヶ谷かよ』って思ったんだよ。小鳥遊や八島はまだ出られないにしても、龍子とか、来島とか、パワー系で強いやつなら他にもいるじゃねーかってさ」
グリさん「そういえば、朝比奈さん、前はちょっと退いてましたよね」
朝比奈「まぁな。正直、始めはうまくやっていける自信無かったぜ。――――けどさ」
 
ごろりと横になる朝比奈。
 
朝比奈「一緒に暮らし始めてみたら、あいつ、思ったよりヤなやつじゃねぇっつか……ま、タカビーはタカビーだし、協調性ゼロだし、他人の都合とかまるで考えねぇし、そーいうとこは噂通りなんだけどさ。けど……」
グリさん「けど?」
朝比奈「……根は、そんな悪いやつじゃねぇじゃん? 裏表とか全然無ぇしさ。方向が斜め上向いてるとしても、試合はいつでも全力で手抜きなんてまったくしねぇし」
グリさん「ええ。正直な方ですよね」
朝比奈「ああ。ま、普段の行動はかっとんでっけど、こっちが慣れりゃ、あれはあれで可愛げあるって気も……ま……するし。だから……これなら、同じチームでもやってけるなって思ってたんだ」
グリさん「でも、それならどうして……?」
 
 
グリさんの問いに、朝比奈は言葉に詰まって……、
 
朝比奈「…………だから、その……悪ぃやつじゃねぇなって思ってたから、余計に……悔しかったんだよ」
グリさん「……?」
朝比奈「だってそうだろ? チームって、そーいうんじゃねぇだろ? そりゃ、実力には差がありまくりだけどよ。けど……そういうんじゃなくって……もっと、なんつーか……」
 
頭をかきむしりながら眉を寄せ、
 
朝比奈「同じチームでやってくんだからさ、もっと……対等っつか、そういうんでいたかったし、いられるって思ってたんだよ。だから…………あいつに、『何も考えずに練習してろ』って言われた時、胸にズーンってきちまってさ」
グリさん「…………」
朝比奈「こいつにとってオレらは何なんだ、ただの自分の軍団の数合わせでしかねぇのかって…………そう思ったら、なんかすげーショックで、カーッて頭にきて――――気がついたら、怒鳴っちまってたんだよな……」
グリさん「…………」
朝比奈「…………」
 
 
 
 
 
 
はぁ……と溜息をつく朝比奈。吐き出し終えて、少し落ちついたようです。
 
朝比奈「……悪かったな。お前らまで連れて帰ってきちまってさ」
グリさん「いえ、それはかまいませんけど……でも、どうしますか? 市ヶ谷さんとのこと」
朝比奈「どうするったって……」
グリさん「だって明日も試合あるんですよ? もし市ヶ谷さんが怒って会場に来なかったら……」
朝比奈「来るだろ。そーいうことで試合すっぽかすようなやつじゃねぇよ」
グリさん「でも……このままじゃ、私、どうしていいか……白石さんもきっと気詰まりだと思いますよ……」
朝比奈「う……ま……それは……」
 
 
 
それを言われると弱い先輩(^^;。
困ったようにごろごろ転がってましたが――――そこで、はた、と気づきました。
 
朝比奈「……そーいや、白石は?」
グリさん「え、お風呂じゃないんですか?」
朝比奈「まだ風呂って……長過ぎねぇか?」
 
2人が時計を見ると、話を始めて(=なぎさちゃんがお風呂に入って)から軽~く1時間半以上経ってたりして。
 
 
 
朝比奈「ちょ――白石!? おい、まさか風呂で寝ちまってんのか?」
 
あわてて部屋から飛び出した朝比奈ですが、お風呂場の灯りは既に消えてました。そして、なぎさちゃんの部屋も無人のまま……。
 
グリさん「白石さん、いませんね……」
朝比奈「ど、どこ行ったんだ、あいつ?」
グリさん「コンビニでしょうか」
朝比奈「こんな時間にかよ。危ねぇだろ。……オレ、ちょっと見てくるわ。お前は一応ここにいてくれ」
グリさん「あ、はい」
 
 
朝比奈は連絡用の携帯電話をポケットにねじ込み、アパートを飛び出しました……。
 
 
 
               ◆
 
 
その頃、市ヶ谷様のマンションでは。
 
市ヶ谷様「はぁ…………」
 
暇で……お茶を煎れて飲んではみたけど、やっぱり手持ちぶさたで暇……だったり。
 
市ヶ谷様「そろそろ寝んだ方がよさそうですわね。明日も試合があることですし」
 
ぶつぶつと独り言をつぶやきつつ、茶器を片づけようとした、その時。
 
 
 
――――ピンポン…………
 
 
 
インタフォンが鳴りました。
 
市ヶ谷様「誰ですの? こんな時間にはた迷惑な……」
 
モニタを覗く市ヶ谷様。
カメラに映っていたのは、なぎさちゃんでした。
 
 
市ヶ谷様「の、のほほん娘――!?」
 
 
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というところで、後編に続きます。(多分後編で終わる……はず(^^;)
 
 
 
P.S.WEB拍手押してくださった方々、ありがとうございました。
 

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