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2007-05-31

ぱわぱわ日記22・雨が降って……(後編)

中編の続きです。なんとか無事ラストまでいきました(^^;。
ではでは、「続きを読む」からどうぞ。

 
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……訪ねてきたなぎさちゃんを、市ヶ谷様は玄関へと招き入れました。
 
市ヶ谷様「で、何の用ですの? こんな時間に」
なぎさ「……風船……もう1回見たかったから……」
市ヶ谷様「風船? ――あ、ああ、そういうことでしたの」
 
彼女の言葉に納得した市ヶ谷様、
 
市ヶ谷様「いいですわ。寝室の鍵はかけていませんから、好きなだけご覧なさい」
なぎさ「……うん……」
 
うなずいて、なぎさはとことこと2Fへ……。
それを見送り、市ヶ谷様はまたリビングへと戻ります。
 
市ヶ谷様「まったく、明日でも間に合うでしょうに。もしわたくしがもうやすんでいたらどうするつもりだったのかしら、あの小娘は……」
 
ぶつぶつとつぶやきつつ、
 
市ヶ谷様「でも……そうですわね、せっかく来たんですもの、お茶の一杯くらい出してやってもバチはあたりませんわよね……」
 
いそいそと、再びお茶を煎れにかかりました。
 
 
 
やがて。
 
市ヶ谷様「これ、のほほん娘! お茶が入りましたわよ。降りていらっしゃい!」
 
階下から呼ぶ市ヶ谷様。
が、上からは反応がありません。
 
市ヶ谷様「いいかげんになさい。見とれるのはわかりますけれど、お茶が冷めてしまいますわよ!」
 
 
  …………し――――――ん…………
 
 
市ヶ谷様「~~~~~~~~っ」
 
むっとした市ヶ谷様、階段を上がり、寝室の前へ。
が、勢いよくドアを開けた市ヶ谷様が目にしたのは、ベッドにもぐりこんですーすー寝息をたててるなぎさちゃんの姿でした。
 
市ヶ谷様「ね……寝てますの?」
なぎさ「……」 すー
市ヶ谷様「お起きなさい。せっかくのお茶が冷めてしまうじゃありませんの」 ゆさゆさ
なぎさ「…………」 すー、すー
市ヶ谷様「これ! 寝るんならちゃんとパジャマにお着替えなさいな! ――お・起・き・な・さいっ!!」
なぎさ「………………」 すー、すー、すー
市ヶ谷様「…………っ」 む~~っっ
 
いっそベッドから蹴り落とせば起きるかと思いかけた市ヶ谷様でしたが(^^;、さすがに寝てる子供相手にそうするわけにもいかず……、
 
市ヶ谷様「こ、困りましたわね……」
 
 
 
               ◆
 
 
一方、コンビニまで行った朝比奈ですが、当然そこになぎさがいるわけもなく。
 
朝比奈「……居ねぇじゃねーか…………チッ、どこ行ったんだあいつ……!」
 
 
舌打ちしつつ戻ろうとした時、ポケットの携帯電話が鳴り始めました。
 
朝比奈「……山本か? おい、白石、コンビニにいねぇぞ! そっちは……」
 グリさん 《いえっ、白石さん、見つかりました!》
朝比奈「え……ど、どこにいたんだよ! 帰ってきたのか?」
 グリさん 《それが、その…………市ヶ谷さんのマンションに行ってたそうで……さっき市ヶ谷さんから連絡があったんです》
朝比奈「―――― へ……?」
 
 
 
               ◆
 
 
30分ほど後。
朝比奈とグリさんは揃って市ヶ谷様のマンションを訪れました。
 
朝比奈「…………」 顔合わせづらそう
グリさん「すみません、ご連絡ありがとうございました」>市ヶ谷様
市ヶ谷様「礼を言われるには及びませんわ。別に泊めてあげてもよろしかったんですけれど、貴女方に無断でというわけにもいきませんものね」
グリさん「ほんとに助かりました。朝比奈さんなんて、白石さんがいないってあわてちゃって……」
朝比奈「……なっ……よけーなこと言うなよっ」 こそこそ>グリ
市ヶ谷様「…………。あの小娘なら、2Fの寝室ですわ。連れて帰るなり、今晩はここに泊めるなり、好きになさい」
グリさん「は、はい」
 
そう言うと、市ヶ谷様はリビングへ。朝比奈とグリさんは2Fの寝室へと向かいました。
 
 
 
 
2Fにはドアが4つありました。
グリさんが手前の部屋のドアを開けると――――、
 
 
朝比奈「……え……」>部屋の中
 
 
グリさん「本当ですね、白石さん寝ちゃってます……」
 
なぎさちゃんが寝てるベッドに歩み寄るグリさん。
けれど、朝比奈はその場から動けなくて。
 
朝比奈「なんだよ……この部屋…………」 ぼーぜん
グリさん「あっ、やっぱりびっくりしますよね。私も昼間驚いたんです」 部屋見回して
 
 
……部屋の中は、一面の風船で埋まっていました。
大きいのや小さいの、丸いのや細長いの、動物の形をしたのや二重になったの――――思いつく限りの種類の風船が壁一面につけられて、まるで壁が風船でできてるかのよう。また、ベッドサイドには束になった色とりどりの風船がふわふわ浮いてたり。
 
 
グリさん「白石さん、最初入った時には目をまんまるくして動かなくなっちゃったんですよ」 くすくす
 
朝比奈「………………」
 
グリさん「しばらくしてからやっとお部屋の真ん中に行って、ぐるぐるぐるぐる見回して……ああ、そうだ、これをまた見たくてここに来たんですね、きっと」
 
朝比奈「………………」
 
グリさん「……でも、どうしましょう。こんなに気持ちよさそうに寝てるのを起こすのも可哀想ですし………………朝比奈さん?」
 
グリさんが振り向くと、朝比奈はちょうど部屋を出ていくところでした……。
 
 
 
               ◆
 
 
廊下に出た朝比奈は、お向かいの部屋のドアを開けました。
その部屋のインテリアは、ベージュと白を基調にしたファブリックで控えめに、でも可愛らしくまとめられていました。アーリーアメリカンっぽく、ベッドにはキルトのベッドカバーがかかってたり。
そして、窓際に用意された小さな本棚には、お料理の本がずらりと並べられていて。
 
朝比奈「………………」
 
 
 
続いて、奥の部屋に入る朝比奈。
そこは、前2つの部屋とはうってかわってシンプルな部屋でした。家具といえば、パイプベッドとデスク、それのみ。
そして、デスクには、最新モデルのパソコンが一式セッティングされていました。
 
朝比奈「……これ……」
 
デスク上のモニタを見て、ちょっと前のことを思い出す朝比奈。
 
 
~~ 回想 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
グリさん「あら、何のカタログですか?」
朝比奈「ん? PCの」
グリさん「え、何か買うんですか?」
朝比奈「いや、モニタ買い換えてーんだけどよ。くそ、高ぇな……やっぱ今は無理か……」
グリさん「それでカタログだけ貰ってきたんですか?」 くすくす
朝比奈「……悪ぃかよ」 むぅ
グリさん「そんなこと言ってませんよ」 くす  「そうだ、すみません、お夕食が済んだら、またこの間のホームページ、見せていただけますか?」
朝比奈「ああ、料理のか? いいぜ。また新作レシピ仕入れんのか?」
グリさん「は、はい」(^^;
 
~~ 回想終わり ~~~~~~~~~~~~~~~
 
 
――デスクの上に置かれてるモニタは、あの時朝比奈が貰ってきたカタログに載っていたものでした。
 
朝比奈「………………んだよ……」
 
 
モニタを見つめる朝比奈。
それに被って、さっきの部屋にあった料理本の山。そしてなぎさの部屋を埋めていた風船の山が浮かんで……、
 
 
朝比奈「(……ちゃんと、オレらのこと見てたんじゃねーか、あいつ……)」
 
 
  
               ◆
 
 
 
そして。
リビングであくびなどしつつ3人が降りてくるのを待っていた市ヶ谷様ですが――――足音が聞こえて振り返ると、朝比奈が入ってきたところでした。
 
市ヶ谷様「…………」
 
朝比奈「…………」
 
 
お互い目を合わせず、黙ったまんま…………。
 
 
市ヶ谷様「………………」
朝比奈「………………」
 
市ヶ谷様「……………………」
朝比奈「……………………」
 
市ヶ谷様「…………………………」
朝比奈「…………………………」
 
 
――――しびれを切らしたのは、市ヶ谷様の方でした(^^;。
 
市ヶ谷様「……何なんですの? 言いたいことがあるなら早くおっしゃい」 溜息
朝比奈「…………いや……その……」
 
歯切れの悪い言葉にもう一度振り返る市ヶ谷様。
朝比奈はポケットに手を突っ込んだまま、気まずそうな顔で床を見つめてました。
 
市ヶ谷様「?」
朝比奈「あの、さ……ここの家だけど……お前の名義だって言ってたよな」
市ヶ谷様「……そうですわよ。それがどうかしまして?」
 
何が言いたいのかよくわからずに問い返すと。
 
 
朝比奈「部屋……をさ。貸す気……ねぇか?」
 
 
市ヶ谷様「――――は?」
 
 
思わず目をみひらいてしまう市ヶ谷様。
 
市ヶ谷様「どういう意味ですの?」
朝比奈「だ、だからさ……上の部屋。オレらに貸す気ねーかって……。も、もちろん、格安にしてもらわねぇと、家賃払えねぇんだけどさ」
市ヶ谷様「……は?」
朝比奈「………………」
 
 
ようやく言いたいことを飲み込んだ市ヶ谷様は、あきれ顔になって、
 
市ヶ谷様「……何を言い出すかと思えば。貴女方からそんなものとるつもりはないと……」
 
朝比奈 「――とれよ!」
 
 
市ヶ谷様「……!?」
 
大声に驚いて見ると、そっぽ向いてる朝比奈の顔がどんどん赤くなってきてました。
 
市ヶ谷様「な、何を大声あげて……」
朝比奈「……とってくれよ。でなきゃ、オレ……やっぱりここには住めねぇよ」
 
市ヶ谷様「………………」
 
 
朝比奈を見つめる市ヶ谷様。
 
 
市ヶ谷様「――何故、そんなに拘るんですの?」
 
朝比奈「……わーってるよ、オレの自己満足だってのはさ。こんなとこの家賃、部屋1つだけだってほんとはオレに払えるわけねぇしさ……結局はお前に頼ってんじゃねーかって、わかってんだ。けどよ……」
市ヶ谷様「…………」
朝比奈「でもよ……これは気持ちの問題なんだって。嫌なんだよ、自分じゃできねぇとこを助けてもらうんならともかく、できることもしねぇでお前におぶさるってのはさ……。んなことしたら、もうずーっとお前と普通に口きけねぇ気がするし……仲間に負い目感じながらチームなんてやりたかねーんだよ……」
市ヶ谷様「…………」
朝比奈「だから…………頼む。とってくれ」
 
 
市ヶ谷様「………………」
 
朝比奈「………………」
 
 
しばらく部屋を沈黙が支配して――
 
やがて、市ヶ谷様は大きく溜息をつきました。
 
 
市ヶ谷様「……わたくしとしては本当にそんなものは要らないのですけれど……」
 
朝比奈「……」
 
市ヶ谷様「貴女がそんなに言うのなら――――仕方ありませんわね。受けとってさしあげますわ」
 
 
 
…………その言葉とともに、2人の間にあった微妙な壁が崩れたようでした。
 
ようやく目を合わせ、どちらからともなく微かに苦笑を浮かべる2人。
 
朝比奈「へへ……決まり、だな」
市ヶ谷様「ええ、決まりですわね。……まったく、意固地にもほどがありますわよ?」
朝比奈「う、うるせーよ、しょーがねぇだろ。だいたい、お前だって問題あんだぞ」
市ヶ谷様「何がですの」
朝比奈「みんなで一緒に暮らしたかったんなら、素直にそー言やいいんだよ。なーにが『気に入らないというのなら仕方ありませんわね』だ、上の部屋見たら本音バレバレだっつの」
市ヶ谷様「なっ……わっ、わたくしは別に一人だってかまわなかったんですのよ! ええ、一人暮らしの方が静かでせいせいしますわ!」
朝比奈「へーへ、そーいうことにしといてやるよ」
市ヶ谷様「ちょいと、ちゃんとお聞きなさいな! だいたい貴女は……」
朝比奈「ああ!? んだよ! ――――」
 
 
 
               ◆
 
 
 
そして、その頃リビング手前の廊下では。
 
グリさん「(えーと……私、いつ入ってったらいいんでしょう)」 (^^;
 
リビングに入るタイミングがつかめなくて困ってるグリさんの姿がありました……。
 
 
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……というような経緯がありまして、今は、ぱわぱわの子たちは市ヶ谷様所有のマンションに居候してるという設定になっております。(つかさは、なぎさと2人部屋)
 
それにしてもこのネタ、最初に思いついたのはぱわ日記の7話を書いた頃だったりして……。長いネタなのでずーっと書けずにいましたが、ようやく宿題を一つ片づけた気分です。腐らせずに済んで、良かった良かった。
 
 
 
P.S.WEB拍手押してくださった方々、ありがとうございました。
 
P.S.2.知人から「WEB拍手でうまく送れない」と連絡が来たので(なんでだろ……(^^;)、ブログのコメント欄を使用可にしています。もし何かありましたら、コメント欄もご利用くださいませ。

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