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2007-05-29

ぱわぱわ日記20・雨が降って……(前編)

 
今回のぱわぱわ日記は、現在より少し時間を遡った時期のお話です。
(時間軸としては、第5話・焼き肉屋さん編と、第7話・なぎさデスバレーボム習得編の間くらい……かな。うわ、すげー昔だ)
 
では、以下「続きを読む」で……。

 
……それはまだ、市ヶ谷様が『ぱわぱわがーるず』に加入して間もない頃。
当時、ぱわぱわの子たちはボスが用意した小さなアパートで 共同生活していました。後から加入した市ヶ谷様も、最初は「オーッホッホッホ、たまには庶民の生活を体験してみるのも良いものですわ」とそこに入られたの ですが、やはり狭いアパートでの暮らしは耐え難かったようで……、
 
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その日。夕食の席で、市ヶ谷様が突然言い出しました。
 
市ヶ谷様「皆さん! 明日、引っ越ししますわよ」
 
朝比奈「へ?」
なぎさ「?」
グリさん「引っ越すんですか? どうして?」
市ヶ谷様「ええ、こういう狭い家での暮らしもたまには面白いと思ってましたけど、さすがにずっと暮らしていると息が詰まってきましたわ。もう少し広いところに移らなくては」
グリさん「で、でも、ボスは何て言うでしょうか……」
市ヶ谷様「ボスにはもう話はつけましたわ。『その方がいいならかまわない』とのことですわよ」
朝比奈「へぇ……そっか……。ま、市ヶ谷にゃこんなボロアパートはきついだろうからな、仕方ねぇか。――で、どこに引っ越すんだ?」
市ヶ谷様「ええ、この近くにわたくし名義の使っていないマンションがありますから、そちらへ。もう準備は整えてますから、後は行くだけですわ」
朝比奈「て、手回しいいな……」(汗)
 
 
               ◆
 
 
そして、翌日の夕方。2台の車が市ヶ谷様を迎えにやってきました。
 
朝比奈「あれ。車だけかよ? 運送屋は?」
市ヶ谷様「オーッホッホッホッ! 残った荷物など、後から運ばせますわ。必要なものはもうすべてあちらの家に用意してありますもの、今日は身体だけ移動すれば充分ですわよ」
 
グリさん「す、凄いですね……。お金持ちの引っ越しってこういうもんなんでしょうか」(^^; こそこそ>朝比奈
朝比奈「そ、そうなのかもな……ちょっとオレらにゃ想像できねぇ……」 こそこそ>グリさん
 
市ヶ谷様「これ、そこ! 何をこそこそ話してますの? さあ、行きますわよ。貴女方も早くお乗りなさい」
グリさん「え、私たちもですか?」
市ヶ谷様「ええ。当たり前でしょう? 何のために2台呼んだと思ってますの」
 
何の不思議が? という表情の市ヶ谷様。とまどってた朝比奈たちでしたが、
 
なぎさ「……行く……」
グリさん「あっ、白石さん……っ」
 
なぎさちゃんが、とことこと車に乗り込んでしまって。
 
朝比奈「……ま、いっか。市ヶ谷が住むマンションってのも、一度見といた方がいいだろうしな」
グリさん「そ、そうですね、こんな機会でもなければ、高級マンションなんて一生見られませんし」(^^;
 
ちょっぴりミーハー心も手伝い、同行することに。
かくして4人は、市ヶ谷様の引っ越し先だというマンションへ移動しました……。
 
 
               ◆
 
 
到着したのは、4階建ての瀟洒なマンションでした。
車寄せなどゆったり作られてはいるけれど、エントランスの雰囲気はむしろシックな部類で、一見そこらのファミリーマンションの方が派手に見えるくらいです。
 
 
が――――お部屋に一歩はいると、そこは朝比奈たちにとって異空間でした。
 
朝比奈「うわ、玄関広いな……って、なんで部屋ん中に日本庭園があんだ?」
 
玄関ホールの正面には、小さいけど和風の中庭があったりして。
 
市ヶ谷様「観賞用の中庭ですわ。このくらい、普通でしょう?」
朝比奈「普通って、どこの世界の普通だよ」 (^^;
グリさん「あの、こっちの部屋、棚しかありませんけれど、何ですか?」>市ヶ谷様
市ヶ谷様「は? ただのシューズクロゼットですわよ?」
グリさん「ええっ、靴の収納にこんなお部屋が要るんですか」 びっくり
市ヶ谷様「TPOに合わせていろいろコーディネイトしますもの、それなりの数が必要じゃありません?」
なぎさ「お風呂……四角いのとまるいのと、2つあった……」
市ヶ谷様「ええ、普通のバスルームの他に、サウナとジャグジーバスも用意させましたわ。一日の疲れをとるには最適ですわよ♪」
 
3人の驚く姿にちょっとご機嫌な市ヶ谷様。もっとも、生活レベルの違いを見せつけられた庶民コンビは複雑な気分だったり(^^;。
 
朝比奈「はぁ……お嬢だってのは聞いてたけど……」
グリさん「市ヶ谷財閥って凄いんですね……」 溜息
 
 
そして、奥の部屋に入ると、そこにはフローリングの床が広がっていました。
 
なぎさ「……ひろびろ……すべすべ……」
朝比奈「ここは何だよ。トレーニングルームか?」
市ヶ谷様「は? オーッホッホッホッ、面白いことを言いますわね。ただのリビングですわよ」
朝比奈「リビングって……居間がこんな広いのかよ……」
グリさん「いったい何畳あるんですか、このお部屋」
市ヶ谷様「そうですわね。正確なところは覚えてませんけれど、確か30畳……いえ、もう少し大きかったかしら」
グリさん「さ――!」
 
朝比奈「……なぁ。この部屋だけで、オレが昔住んでた部屋が4つくらい入るんだけどよ……」 こそこそ>グリさん
グリさん「か、考えないようにしましょう(^^;。……哀しくなりますから……」
 
世の中ってやつぁ不公平だ。こんなどでかいマンションに住める金持ちがいるってのに、自分は……と、以前住んでいたボロアパートを思い出し、溜息をついてしまう貧乏人。
 
 
しかし、それにしても――、
 
市ヶ谷様「それから、さっきの玄関ホールの奥の階段を登れば、上の階にベッドルームがありましてよ」
朝比奈「上の階って、マンションなのになんで2階があんだよ!?」
グリさん「メゾネットってやつですね。聞いたことはありましたけど、見るのは初めてです」
なぎさ「……部屋……見てくる……」 とことこ>寝室の方へ
朝比奈「おいおい、見学すんのはいいけど、物壊すなよ。弁償できねぇぞ」>なぎさ
なぎさ「大丈夫……」 とことこ
グリさん「あ、あの、私、白石さん見てますからっ」 なぎさの後を追っていく

 

なぎさとグリさんが2階に上がり、リビングには市ヶ谷様と朝比奈だけ残りました。
はぁ……と溜息つきつつ、周囲を見回す朝比奈。
 
朝比奈「にしても、でっかいマンションだよな……」
市ヶ谷様「あら、市ヶ谷の本宅に比べれば、このくらいささやかなものですわよ」
朝比奈「……マジかよ。お前んとこの本宅って、いったいどのくらい広いんだ」(汗)
市ヶ谷様「そうですわね、ざっと……」
朝比奈「いや、いい、いい、言わなくていい。聞くと人生に絶望しそうだ」
市ヶ谷様「?」
朝比奈「ったく、一人暮らしにこんなマンション用意しちまうんだもんな。金持ちはやっぱ桁が違うぜ」
市ヶ谷様「――は?」
 
朝比奈の言葉を聞きとがめた市ヶ谷様。
 
市ヶ谷様「一人暮らしって、何を言ってますの?」
朝比奈「へ? だってお前、今日からここに住むんだろ?」
市ヶ谷様「ええ。でも、貴女方も一緒ですから、一人じゃありませんわよ?」
朝比奈「――――はぁ!?」
 
今度は、朝比奈の口がぽかんと開きました。
 
朝比奈「え、ちょ、ちょっと待てよ……」
市ヶ谷様「上のベッドルームはパーティションをいれて4つにしましたから、1人1部屋ずつ使えますわ」
朝比奈「いや、だから……」
市ヶ谷様「各自の部屋のインテリアは業者に整えさせましたけれど――気に入らないところがあれば、いつでも言ってくださればよろしくてよ。すぐに直させますわ」
朝比奈「……ま、待てって!」
 
あわてて止める朝比奈。
 
朝比奈「つ、つまり、お前が引っ越すって言ってたのは……お前だけがここに引っ越すんじゃなくて、オレらにもここに住めって、そういうことだったのか?」
市ヶ谷様「ええ、そうですわよ? それが何か」
朝比奈「じょ、冗談じゃねぇよ! こんな贅沢なマンション、家賃いくらになるんだよ。オレらに分担できるわけねぇだろ!?」
 
焦る朝比奈ですが、市ヶ谷様は目をみひらき、そして微笑みます。
 
市ヶ谷様「あら。何をあわてているのかと思えば……オーッホッホッホッホッ! わたくし名義のマンションだと言いましたでしょう? もちろん分譲ですわよ、家賃など不要ですわ」
朝比奈「え、あ……そういや……」
 
微苦笑を浮かべる市ヶ谷様。
 
市ヶ谷様「――まったく。このビューティ市ヶ谷も見くびられたものですわね。わたくしの軍団の人間にそんな苦労をさせはしませんわよ」
朝比奈「……え……」
市ヶ谷様「いい機会だから言っておきますわ。わたくしが加入したからには、今後経済面で頭を悩ませることはありません」
朝比奈「…………ぇ……」
市ヶ谷様「貴女方は何も心配せず、ただ練習に励んでいればよろしいのですわ。わたくしの軍団員にふさわしい強さを身につけることだけお考えなさいな」
朝比奈「………………」
 
機嫌よく語る市ヶ谷様ですが、次第に朝比奈の表情が硬くなっていって……、
 
市ヶ谷様「そしていずれは業界の頂点に――――どうしましたの?」
朝比奈「…………ふざけんなよ」
市ヶ谷様「は?」
 
きょとんとする市ヶ谷様。
 
朝比奈「金は全部出してやる、ここに住んで練習だけしてればいいって…………オレらはお前の何なんだよ」
市ヶ谷様「な、何が言いたいんですの?」
朝比奈「……そりゃ、実力は比べものにならないけどさ。でも、同じチームメイトだろ?」
市ヶ谷様「何をあたりまえのことを言ってますの。もちろんですわ。ですから……」
朝比奈「だったら! なんでそんなこと言うんだよ。金出してやればほいほい喜ぶだろうみてぇな、そんな……」
市ヶ谷様「けれど貴女だって、先日店の代金を払ってさしあげたら喜んで、『お前、意外といいとこあんじゃねぇか♪』とか言ってたじゃありませんの」
朝比奈「それとこれとはレベルが違うっての。飯を1回奢ってもらうくらいならともかく、生活費まる抱えしてもらって喜べるかよ」
市ヶ谷様「…………」
朝比奈「オレだってな、プライドあんだよ。お前からしたらはした金かもしれねぇけどさ――――試合して、ファイトマネー稼いで、かつかつでもそれで生活してんだ、自分で自分養ってんだってプライドがさ」
市ヶ谷様「…………」
朝比奈「なのに、なんで、対等なチームメイトに……“仲間”に金恵んでもらって暮らすような真似しなきゃなんねぇんだ。ふざけんじゃねぇよ!」
市ヶ谷様「……っ……」
 
 
……にらみ合う2人。
そこに、グリさんが降りてきました。
 
グリさん「ふぅ、白石さんってばすっかり喜んじゃって…………ど、どうしたんですか?」>険悪な雰囲気
朝比奈「なんでもねぇよ。……オレ、帰るから」
グリさん「え、上のお部屋は見ないんですか? 凄いですよ」
朝比奈「ここにいたきゃいろよ。オレは帰る」
グリさん「えっ、待ってくださいってば……あの、市ヶ谷さん、いったい?」
 
何があったのかわからないグリさん、朝比奈を止めてもらおうと市ヶ谷様を振り返りますが、市ヶ谷様は腕組みをして嘆息……。
 
市ヶ谷様「わかりましたわ。良かれと思って提案したことですけれど、気に入らないというのなら仕方ありませんわね」
朝比奈「ああ。――じゃ、な」
グリさん「ちょ、ちょっと朝比奈さん~っっ。待っててくださいっ、白石さんも呼んできますから」
 
あわててグリさんはなぎさちゃんを呼びにいき――やがて、3人はお部屋を出ていきました。
 
 
               ◆
 
 
後に残ったのは、市ヶ谷様とひろ――――い豪華マンションのみ……。
 
市ヶ谷様「まったく。これだから、人の好意のわからない野蛮人は困りますわ……」
 
ぶつぶつとつぶやく市ヶ谷様。
けれど、その声に答える者は居ず……、
 
市ヶ谷様「………………それにしても……」
 
リビングを見回し、市ヶ谷様はかすかに溜息をこぼしました。
 
市ヶ谷様「一人で暮らすには、少々広すぎましたかしらね…………」
 
 
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中編に続きます……。
 

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