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2009-04-12

「タイトル未定な朝比奈の物語」(仮題) 2回目

「忘れた頃にやってくる、天災のようなシリーズ」……と新井素子みたいなことを書いてみたり。
先日HDを整理してたら、かなり前に1回だけ載せた朝比奈小説のファイルを発掘したので、ちょっとですけど続きを進めてみました。
ちなみに、前回の分はこちらです。2007年7月……うわ、1年9ヶ月ぶりだったのか(汗)。
 
ではでは、「続きを読む」からどうぞ。

 
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          2
 
 
 
 家に帰りついた時には、時計は6時を回っていた。
 ――すっかり遅くなっちまったな。
 鍵を取り出しながら、朝比奈は眉をしかめた。
 霧島の話は予想したよりも長くなった。ハンバーガーショップに入った時にはまだ明るかった空は、とっくに日が沈み、星が瞬き始めている。今日は自分が夕食当番の日だったのだが、どうやらメールしておいて正解だったようだ。
 玄関のドアを開けると、
「……あっ、お帰り、姉ちゃん。話、もう終わったの?」
 音を聞きつけたらしく、美香が顔を覗かせた。
 クセ毛気味の髪をバレッタでまとめ、腕まくりしている。同時に台所の方から柔らかなみそ汁の香りが漂ってきた。どうやらメールは見てくれたようだ。
「ああ。悪かったな、急に夕飯頼んじまって」
 靴を脱ぎながら朝比奈が謝ると、美香は首を振って笑った。
「いいよ、今日は別に用事無かったし」
 美香は、朝比奈の1つ年下の妹である。
 もっとも、実の姉妹ではあるが、あまり似てはいない。背丈も自分ほど高くはないし、親友の真里のような美少女ではないものの、豊かな表情のせいか充分愛嬌のある顔だちをしていると思う。性格にしても、無愛想で人付き合いがあまり得意でない自分に比べ、美香は屈託のない性格で学校の友人も多い方らしい。
 2人の母親は娘たちがまだ幼い頃に病気で逝ってしまった。母親を失って心細かったのだろう、当時の美香は何かといえば自分の後ろをついて回っていたような気がする。自分も頼られると悪い気はせず、近所の子供と喧嘩になった時などはいつも妹を庇って代わりに喧嘩していた。さすがに高校生になった今は昔ほど姉べったりではなくなったが、それでも姉妹仲は良い方だ。
「あ、でもね、買い物に出直すの面倒だったから冷凍庫にあった豚の切り落とし使っちゃったけど……よかった?」
 美香が首をかしげる。姉の予定が狂ったのではないかと思ったのだろう。
「いいっていいって。何作ったんだ?」
「肉じゃが。それから、切り干し大根とワカメを酢の物にして、大根と薄揚げでおみそ汁。後は、昨日ひじき煮たのが残ってるからそれも出して……有り物ばっかりだから適当だけどね」
「そんだけ作りゃ充分だろ」
 口では適当と言いつつ、誉めてもらいたげな妹に思わず吹き出しそうになる。
「……マジ悪かったよ。明日の飯はオレがやるからさ、おまえ遊んできていいぜ」
「はーい。それより姉ちゃん、早く着替えてきてよ。お腹空いちゃった。お父さんはどうせ今日も遅いみたいだし、ご飯にしちゃお」
「あ、ああ、そうだな。すぐ降りてくっから、待ってろ」
 階段を上が――――ろうとして、ふと朝比奈は足を止めた。
「そうだ……美香?」
「なぁに?」
 妹が振り返る。
「お前さ。……女子プロレス、好きだったよな」
「え?」
 姉の言葉が意外だったのだろう、美香が目をみひらいた。
 数年ほど前から、少女たちの間で女子プロレスが流行り始めている。大勢の少女が会場に詰めかけ、歓声を上げてこれまた若い少女レスラー達を応援しているのだという。美香もこの女子プロレスが好きで、テレビの試合中継はいつも熱心に観ていた。
「なんだっけ、ドラゴン……なんとかっての応援してたろ?」
「『ドラゴン藤子』だよ、いい加減覚えてよー」
 口を尖らせる美香。「悪ぃ」と朝比奈は肩をすくめた。いつも妹からお気に入りの選手の話を聞かされてはいたが、如何せんその世界には興味が無かったので選手の名前まではなかなか覚えられなかったのだ。
「で?」
「あ、ああ。その、女子プロレスの、試合のDVDとかさ、持ってたろ。ちょっと貸してくんねーかな」
「DVD? ……姉ちゃんが観るの?」
 きょとんとした美香だったが、朝比奈がうなずくと嬉しそうな表情になった。
「ん、そうだね、いっぱいあるけど、藤子さんの試合でお勧めなのはやっぱ一昨年のタイトルマッチかなぁ、あれはすっごい熱戦だったから……」
「あ、いや」
 自分の世界に入ってしまいそうになった美香を、あわてて朝比奈は引き留めた。
「できればさ……『ワールド女子』ってとこのがいいんだけどよ」
「……わーるどぉ?」
 朝比奈の言葉に、妹はまばたきした。
「ああ。その、ワールドってとこの試合。あるか?」
「んー、藤子さん、新女だからなー……。……あ、でも、そっか。あるよ、ある!」
 首をかしげて考えこんだ美香だったが、思い出したらしく、手を打った。
「今年の初めだったかな、新女とワールドが対抗戦やったんだよ。確かあれ、録画してたと思う。それでいい?」
 対抗戦というのはよくわからないが、とりあえず目的の団体のDVDはあるらしい。
「あ、ああ。飯の後でいいから、そいつ貸してくれっか?」
「いいよ。…………なーに、姉ちゃん、女子プロレスに興味出てきたの?」
 笑みを浮かべて、妹が見上げてくる。それまでいくら勧めても興味なさげだった姉が、自分から試合を見たいと言い出したのが嬉しかったらしい。
 朝比奈はうなずいた。
「……ああ、まぁ――――ちっとな」
 
 
 
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前回に続いて、またも朝比奈以外のレッスルキャラ分のほとんど無い展開ですみません。
もう少し進むと、旧作のワールド女子のメンバーが出てくるはずなんですが……そこまで行き着けるのかどうか……(ぉ。
 
 
 
 
P.S.WEB拍手押してくださった方々、ありがとうございました。

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